あれから10年
あっという間に10年。
私は当時岩手に居ました。
といっても、内陸なので地震の被害と数日の停電程度の被害で済んだ身です。
ですが、この程度で済んだ身でも、明かりのない夜はつらかった、日が落ちるのがすごく嫌だったのを覚えています。
ラジオからは福島第一原発が爆発したとニュースが流れてくる。
いったいどうなるんだろう、このまま日本が終わるんじゃないか、そんな風にも思って夜を過ごしていました。
そんなことを今日は思い出したりしました。
未だに理解しきれてないんです。
家どころでなく、街そのものが流される程の津波のことを。
大学の頃、沿岸に復興支援で関わったことがあり、津波の被害にあった現場を直接見たんです。
ガソリンスタンドの看板って、すごく高いところにあるじゃないですか。そこにこう書いてあるんです。
「津波到達点」
現実として、あの高さまで、水の巨大な壁が押し寄せてきたということが、そこに記されていました。
わかっていても、理解しきれないし、想像しきれないです。自分の経験として、未だに現実のことだったんだという実感が持てずに居ます。想像を絶するというのでしょうか。
震災当時、私は高校生でした。
震災があって、しばらくして沿岸から避難してきて転校してきた子が下の学年にいました。
ある日放課後に自習していると、大きな余震がありました。生徒は体育館に集められて先生の支持を待っていました。
その時に、先ほどの転校生の子が強く震えて怯えているのを今でも鮮明に覚えています。
沿岸での被害がどれほどだったか、その子を介した時が1番恐怖を感じたかもしれません。
被害のあった近くにいたはずなのに、どこか他人事で生きてきたように思います。
または、つらい出来事すぎて、わざと深く考えないようにしてきたかもしれません。
この機会に、あの時のこと、あの日のこと、あの津波のことを深く考えて、
今生きているということ、これから生きていくということを見つめ直すことが必要かもしれません。